先日、あるご縁から鹿革・毛皮産業で有名な奈良県の菟田野(町村合併により、現在は宇陀市)へ行ってきました。
太鼓屋さんにいた頃を含めて、革に関わるお仕事に携わって、ちょうど10年。
知識としては知っていたけれど、実際には見たことがなかったこと。
そもそも知らなかったこと。
そういうことに触れ、知る機会をいただき、本当に色々と勉強になりました。
鹿革という言葉で一括りにされていますが、鹿革という名で出回っているものの多くは、小型の鹿であるキョンの革だそうです。
写真はそのキョンの革の原皮。
革の鞣し工程。洗濯機のような機械に革と水、鞣し剤を入れて、時間をかけて革に浸透させていきます。
多くの機械を使って加工していきますが、操作をするのは結局人の手足。
製品になるまでには、多くの職人の手が関わっています。
染色前の革。
タンニンなめしの革は黄色っぽく、クロームなめしの革は青っぽくなっており、一目で違いがわかりました。
色をつけて、干して、乾燥させていきます。
なかなか壮観な光景です。
鹿革の上に漆で模様を描いた、いわゆる印伝。
(印伝という言葉が、正確な歴史に基づく表現ではないということで、教えていただいたのですが、私の付け焼刃の知識で説明を書くと、間違いや、誤解が起こりうると思いますので、ここでは一般的な通称としての印伝という言葉で説明させていただきます。)
普段、私の手元にくる時点で、製品としての革になったものを加工して、革製品にしているわけですが、そこに至る過程や、そもそも生きた動物であるということ、常に意識しているつもりでも、慣れて当たり前になってしまうことを改めて意識させてくれる機会となりました。
お話聞かせていただいた皆様、ご縁を繋いでくださった方々、ありがとうございました。