2020/04/18 10:30
今日は第二段、「ヘリ漉き」についてです。
・
ヘリ漉きと聞いても、なんのことやらかもしれませんが、革のヘリ(端っこ)部分の厚み調整のことです。
・
ちなみに、その前段として、革一枚の段階、もしくはパーツにした段階で、一度全体の厚みを調整する、「面漉き」をしています。
・
面漉きのための機械(バンドナイフ)はかなり大がかりなもので、価格も高く、私は持っていないため、専門の漉き屋さんに加工をお願いしています。なので、ここでは省略します。
・
さて、本題のヘリ漉きです。
・
ヘリ漉き…それは完成した時には見えないですが、仕上がりの良し悪しを決めると言っても過言ではない、重要な工程です。
・
ヘリ漉きには、大きく分けて3つの方法があります。
・
1.斜め漉き
パーツが重なる部分の厚みを抑えるための漉き方。これをすることで、全体の印象をシャープにして、分厚すぎない、自然な手触りとなります。
・
2.ヘリ返し
革の端の部分だけを折り返すヘリ返しの時にする漉き方です。TSUKIKUSAでは、カード段のパーツで特に多用しています。決まった幅だけ薄く漉くことで、漉いた部分と、漉いてない部分に段差を付けて、折り曲げやすく仕上げます。
・
3.溝漉き
パーツを折り曲げるために、部分的に溝を付ける漉き方です。
角度をつけて曲げる場合は狭い幅で、広めのRの場合は広めの幅でと、場所によって幅や深さが変わります。
・
これらの漉き方を組み合わせて、ひとつの製品を作っていきます。
部分的に革包丁を使うこともありますが、ほとんどの作業はヘリ漉き機を使います。
・
回転する丸い刃に対して、抑えの高さや角度を調節して、イメージの漉き方に持っていきます。
漉くという作業自体にもある程度の技術、経験が必要ですが、何よりも刃を研ぐことが上手に出来るか否かが全てと言ってもいいくらいです。
・
漉きの作業は0.1mm単位で厚みを調整していく、本当に繊細な作業です。
また革は一枚一枚、柔らかさやハリ感が違うため、その誤差を少なくするために、あえて厚みを変えて、製品になった時に均一になるように調整したりもします。
・
はじめに書いた通り、これらは全て完成した時には見えません。でも見えないからこそ、仕上がりに差が出る、大事な工程です。
・
〈ヘリ漉きに使う道具など〉
○漉き機
○(部分的に)革包丁