2020/04/22 09:47
今日は縫製のお話です。
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革製品をつくる、というと、縫製をしている姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ある意味で、革製品をつくる中では、ハイライトと言えるかもしれません。
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縫製は、手縫いと、ミシン縫いの二通りの方法があります。
この違いについては、また何か機会がある時に書きたいと思いますが、TSUKIKUSAでは、部分的に手縫いをすることはありますが、基本的にほぼミシンで縫製をしています。
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縫製が他の作業と大きく違うのは、失敗がはっきりと目に見えるということです。
縫製が曲がったり、ピッチが大きく乱れたり、出来ていないことは出来ていないと分かるので、ある意味やりやすい作業です。
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よくお客様に「よくこんな真っ直ぐ縫えるね」というお声をかけていただくことがあるのですが、普通の縫製の場合は、断面部分をガイドにあてて縫うので、そんなに難しいことではありません。
ただ、何かしらの構造でガイドを当てられない部分や、途中で厚みが大きく変わる部分、裏側を確認しづらい部分などは、やはり感覚に頼るところも多いので、とにかく数を縫っていく中で、持ち方や、力の入れ具合を掴んで、イメージ通りに縫えるようになっていくしかありません。
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ミシン縫いの場合、難易度の高い縫製として、ラウンドファスナータイプの縫製などあげられますが、これは縫っている最中に裏側が確認できないということがやりづらさの大きな原因です。
しかし、結局は縫製の技術よりも、その前段階の貼り合わせをいかに正確に出来ているかで決まってくるので、準備をしっかりするということが一番大事になってきます。
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ミシンを踏みはじめた頃と、今と、何が変わったかを考えてみると、経験を重ねたことで予測する力がついたことです。
「このくらい押しながら踏めばこの辺に針が落ちるな」とか「このまま進むと、ここで失敗しそう」とかいうことを感覚的に感じるようになっていくので、そうすると失敗も減るし、作業スピードや正確性もあがってきます。
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ただこればかりは口で説明のしようがないので、とにかく沢山ミシンを踏んで、失敗して、失敗の原因を考えて、改善するということの繰り返しです。
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とは言え、今でも時々失敗をすることがあります。
その多くは気持ちが焦っていたり、他の部分に気を取られていたり…結局気持ちを整えるということが大切なのかもしれません。
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縫製は、他の作業と違い、失敗すると、その時点で材料に穴が開いて、修正がきかないので一瞬のミスが命取りとなります。
材料も無駄になれば、そこまで積み上げてきた作業時間も全て無駄にしてしまいます。
モノが形になっていく楽しい工程である反面、最も神経を使う、集中力が必要な工程です。
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<縫製に使う道具>
ミシン縫いの場合
○ミシン
○針
○糸
手縫いの場合
○菱目打ち
○菱切り
○ハンマー
○ウマ
○針
○糸