2020/04/26 15:45
今日はヤキネンについて書きます。
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このヤキネンについては、今まで書いてきた各工程と違って、しなければしないで形になる、付属的な工程です。
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とはいえ、全体の印象には大きな影響を与える部分なので、あえて取り上げてみました。
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ヤキネンは、ネンと言われる線を革に引く作業です。熱コテを使って、革に焼き色を入れるため、ヤキネンと言います。
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意味としては以下の2つのことがあげられます。
1)革が熱で固くなることにより、強度が出る。
2)飾り。ラインが入ることで、引き締まって見える。
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ヤキネンには熱コテを使います。
先端部の形状が色々あり、それによって、線の太さや、端部分の仕上がりが変わります。
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さらに、電気で熱を入れるものと、アルコールランプで直接熱するものがあります。
電気のものは、温度が安定するというメリットが、直火のものは、温まるスピードが早いというメリットがあります。
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TSUKIKUSAでは、それぞれの特性に合わせてクロム鞣しの革には、電気ネン、タンニン鞣しのものには、アルコールランプで熱したものを使い分けています。
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ヤキネンを引いている時、途中で止めたり、力の入れ具合が変わると、線が均一に入らないため、一定の力で入れるということが難しい部分です。
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慣れれば作業そのものがすごく難しいわけではないのですが、裁断が真っ直ぐでなければネンも曲がってしまいます。
ヘリ返しの部分であれば、ヘリ返しが乱れていれば、ヤキネンもキレイには入りませんし、そのためにはヘリ漉きが正確にできている必要があり、そのためには漉き機の刃の研ぎをしっかりと出来なければなりません。
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結局ここまでで紹介してきた作業を、ひとつひとつ正確にしてこなければ、後にしわ寄せがきて、後半の作業に影響してくることになります。
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はじめに書いた通り、ヤキネンをしなくては形にならないというものではありません。
でも、これを入れるか否かで強度を高めたり、見た目の印象がかなり変わるので、製品を作る上では重要な要素となっています。