2020/04/28 21:00
最終回は「コバ磨き」。
革製品をつくる上では、仕上げとなる作業です。
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コバ磨きについては、それをやる人の数だけやり方がある、といってもいいくらい色々なやり方があります。
個人的な考えではありますが、最終的にキレイに仕上がれば、そのアプローチの方法は何でも良いと思っています。
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また、他の作業と違って、基本的にコバ磨きはやればやるほどキレイになる(顔料で仕上げる場合は別ですが)ので、早く、キレイに仕上げることを重視しています。
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コバ磨きにおいて、最も重要なことは、磨きはじめる前にいかに断面を整えておくか、ということです。
断面を整えないで磨いては、どんなに繰り返しても、キレイには仕上がりません。
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この整え方も素材や形状によって変わるので、多岐にわたりますが、TSUKIKUSAの場合はおおまかに二通りの方法を使い分けています。
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まず、平面的な貼り合わせのものは、仕上がり寸法より各辺2mmずつ大きく作って、それを革包丁で2mmカットするという方法をとっています。
極論を言うと、コバが一番キレイに整うのは、よく切れる包丁で切った裁断面です。均一に、真っ直ぐに断面が揃うので、そこにコバ液をつけて布で磨きあげていきます。
レザークラフトの経験がある方だと、角が立ちすぎないかと思う方もいるでしょうが、私の場合はその後に手で磨いていくので、磨く段階で角を潰して、丸みをつけています。
この方法は、はじめにあげた早く、キレイになるというのがいい点ですが、根本的に裁断の技術が必要ですし、立体的な構造では出来なかったり、革の繊維がつまった、ある程度硬さのある革でないとやりづらかったりと制約も多く、これだけでは色々なものはつくれません。
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もう一つの方法は、貼り合わせたコバを削って、ペーパーをあてて整えていく方法です。
わりとこの方法が一般的ではないかと思います。
コバを削るのは、豆鉋(マメカンナ)を使う時と、グラインダーを使う時があります。
私の場合はグラインダーをメインで使いますが、一辺が長いパーツの場合や、構造上グランダーを当てづらい場所では鉋を使います。
ある程度まで削り込んだ上で、ペーパーで整えていき、コバ液を塗って、手磨きという流れです。
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最後の磨きの部分についても、ルーターなどでバフ磨きをするという方法もあります。
また、コバに塗るものも、染料で色を入れる人もいますし、コバ液についてもたくさん種類があって、それぞれ特性も違います。
私もクロム鞣しの素材の時は顔料で仕上げるので、また違った仕上げ方をしています。
更には蜜蝋仕上げというのもありますが、それについても書き出すと長くなるので、ここでは割愛します。
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いずれにせよコバの仕上げ方は人それぞれ。
キレイに仕上げることで、全体の印象を大きく変える大切な部分ですが、同時に作り手の考え方が現れる部分になります。
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<コバ磨きに使う道具など>
○革包丁
○グラインダー
○バフ
○豆鉋
○ペーパー
○スリッカー
○クロス
○染料
○顔料